AutoCAD 回転させない円形状配列複写の基準円

先日、AutoCAD入門・基礎講座を弊社で実施した際、次のような質問がありました。

「円形状配列複写(arraypolar)において、オブジェクトを回転させないで実行した時、何を基準に円形状に配列しているのですか?」

Fig.1

Fig.1のように、大小の円が斜めに並んでいるオブジェクトを、通常の方法で円形状配列複写させると、Fig.2のようなカタチになります。一般によく利用されるカタチですね。

Fig.2

 

一方、オブジェクトを回転させないオプションをオフにすると、Fig.3のように配列されます。

Fig.3

大小の円の位置関係(角度)は変わっていないのはわかるのですが、果たしてFig.3では6個のオブジェクトの正確な位置関係はどうなっているでしょうか?

ふと思いついたのは、図心(面積重心)と思って確認してみましたが、違っていました。円の中心同士を結ぶ直線上にも基準となるような点は見つかりませんでした。

考えてみれば、円形状配列複写が可能なオブジェクトは何も閉じたポリラインに限ったことではなく、複数の離れた線分でも可能な訳ですから当然です。

 

検証の結果、バウンディングボックスの中心であることがわかりました。

Fig.4

バウンディングボックスはCGソフト等でよく使われている用語で、対象となる複数オブジェクトに外接するような長方形のことを示します。

Fig.5

Fig.5のような規則性を持っていることになります。

アジアデジタルモデリングコンテスト、一般公開展示のお知らせ 8月7・8日

私が理事を務めている日本図学会は今年創立50周年を迎えました。

その記念事業のひとつとして、8月6日(日)~8月10(木)にかけて、国際会議であるアジア図学会議 AFGS 2017 (Asian Forum on Graphic Science2017) を東京大学駒場キャンパスにて開催いたします。

形状に関連して,各界で活躍されている方々による招待講演の他、数多くの研究発表を聞く機会であり、私もとても楽しみにしています。
英語をどこまで理解できるか問題ですが(^_^;)

本国際会議に先立って、アジアデジタルモデリングコンテストADMC 2017 (Asian Digital Modeling Contest 2017)を実施、国内外から数多くのデジタルモデリング作品の応募があり、私も審査にかかわらせていただきました。

アジアデジタルモデリングコンテスト2017

ADMC 2017の展示会場では,3Dプリンターで造形した3次元形状モデルの展示をいたします。下記の日程で一般無料公開をいたしますので、お気軽にご来場ください。

■日程(一般公開)
8月 7日(月) 17:00-18:45 (作品展示 MMホール,口頭発表 ホールA)
8月 8日(火) 17:00-18:45 (作品展示・紹介 MMホール)

■場所
東京大学駒場キャンパス 21 KOMCEE

■過去のコンテスト作品集
http://admc2017.graphicscience.jp/gallery/

高級機材を使って商品を撮影しても、意匠登録の写真として適さない理由

量産可能な物品のデザインを保護する法律として、「意匠法」というものがあります。デザインの保護が目的ですので、勿論出願には図面、写真、CG、見本のいずれかの提出が必要となります。

弊社業務の一つとして意匠出願用のデータ作成を行なっており、その中でご依頼が多いのは圧倒的に図面ですが、意匠写真の作成もある程度の件数があります。

意匠写真のご依頼時には、商品をお預かりして、社内でデジカメ撮影するところから始まりますが、次の点に注意が必要です。

「意匠登録出願等の手続のガイドライン」(平成29年4月 特許庁)からの抜粋
4.1様式及び写真の作成方法
立体的な意匠を表す写真は、正投影図法により各図同一縮尺で撮影した【正面図】、【背面図】、【左側面図】、【右側面図】、【平面図】及び【底面図】を一組として表してください。

この文章の中での「正投影図法」という言葉が重要になってきます。

商業写真などを撮影しているプロカメラマンだと、いわゆる綺麗な写真を撮ってもらえると思いますが、「正投影図法」という条件を満たしていなければならす、これがなかなか難しい部分です。何故なら、正投影という限りは画像に遠近感があってはいけないからです。

ネットショッピングやパンフレットに使われる写真では、不特定多数の人が購買意欲を掻き立てられることが必要ですが、出願用の意匠写真が訴えかける最初の相手は、特許庁の意匠審査官。
ここが決定的な違いです。

 

今回100円ショップで購入し、弊社オフィスでも使っているパーテーションフックを例にとって考察したいと思います。

パーテーションフック

幅が一定なので、2次元スケッチして押し出せばいいだけなので、3Dモデルを作るにしても簡単ですね。

Fusion 360で3Dデータを作り、六面図にしてみました。(1図は省略)
簡単に正投影図が出来上がります。

Fusion 360 で作成した2次元図面

 

このような単純形状の意匠図面では線図で描くのが普通ですが、敢えて写真を撮ってみます。業務では本来一眼デジカメを使いますが、ブログ用としてコンパクトデジカメでささっと撮影したものですので、あまり綺麗とは言えませんが・・・。

意匠写真 左側面図

意匠写真 右側面図

意匠写真 正面図

写真だと幅が全く揃っていないのが一目瞭然ですね。また、この画像ではわかりにくいですが、奥行きがあるものは全体にピントを合わせるのが難しいと思います。
このように写真撮影したものをそのまま意匠図面として使う訳にはいきません。

カメラ撮影する以上、遠近感の影響をゼロにすることはできません。
無限に離れた位置から撮影すれば、理論上は遠近感を無くすことはできますが、商品の大きさも無限小になるので実際は不可能。

なるべく離れた位置から望遠レンズで撮影すれば、ある程度パースの効果は減らせますが、ピントが甘くなったり手ブレの影響を受ける為、鮮明な画像を得にくくなります。

弊社では、意匠図面の要件を満たすような手法で撮影した写真を、さらに画像編集ソフトで加工することで、ようやく意匠出願に使える写真が完成します。

また、表面がメッキ処理されていたり、透明・半透明部分があったり、写真では凹凸が判別できないような商品ではさらに加工を追加。
部分意匠の場合、「その他の部分」には別レイヤーを設定し上から赤色等の彩色を施します。

六面図全てのサイズを調整し、出願用フォーマットに合わせて解像度の調整を行なってから納品となります。

意匠写真と言っても、なかなか奥が深い事を感じていただけたでしょうか。

Fusion 360単体でテクニカルイラストレーション技能検定に対応できるかどうかの検証

 

先月JAVC(日本ビジュアルコミュニケーション協会)主催によるFusion 360のセミナーで、講師として登壇いたしました。

その際、Fusion 360単体で
「テクニカルイラストレーション技能検定に対応することができるかどうか」
という課題が上がりました。

この技能検定は厚生労働省が定めている国家検定であり、試験の実施については各都道府県の職業能力開発協会が実施しています。

Fusion 360での受験が認められるかどうかは、各職業能力開発協会の判断による所ですが、技術的な観点から検証してみました。

Fusion 360は3次元形状を作成することができ、さらにその3Dモデルから2次元図面化も可能とするソフトウエアです。

テクニカルイラストレーションで求められる完成物は、基本的に等測投影図です。
3次元モデルが作れて、等測投影図に必要とされる視点もViewCubeを使って容易に得ることができるので3D空間内では特に機能的な問題はありません。

試験の最後には、用紙出力およびデータで提出が必要となりますが、Fusion 360のメニューには、図面をPDF出力するためのボタンが備わっているので、PDFファイルで対応することになるでしょう。

 

課題で与えられた3Dデータを作成するところまでは特に不都合はありませんが、問題は2次元図面です。

クリアしなければならない事は次の4点。

(1)ネットに接続できない環境で、作業できるか
(2)図枠と表題欄は指示された形状で作成できるか
(3)線の太さの設定ができるか
(4)任意の場所に、連絡線や中心線は記入できるか

(1)については、直近の2週間以内にサインインした過去があれば、オフラインモードで起動させることができます。

その一方(2)~(4)については、現状Fusion 360単体では対応することはできません。

3Dモデルの作成~2次元図面化までは、Fusion 360で行い、DWGデータ出力したものをAutoCAD LT等に読み込んで、2次元CAD上で仕上げるのが最も現実的であろうと思います。

 

ここでAutoCAD LTと書いたのは、LTではなくAutoCAD(レギュラー版)が使える環境であれば、3Dモデル作成からAutoCADでやってしまった方が手っ取り早いからです。
敢えてFusion 360を使う必要はありません。

ちょっと、残念ですね。

但し、Fusion 360はユーザーの要望を取り入れたバージョンアップが頻繁に行われており、今後は対応できるようになるかもしれません。

繰り返しになりますが、実際の検定試験では使用可能なソフト等の条件は、各都道府県の職業能力開発協会が個別に定めているので、技術的にクリアできたとしてもFusion 360で受験できるとは限りません。

 

 

ところで技能検定の話からは外れますが、現状でも2次元図面の表題欄の入替えの要望は多いようです。

AutoCAD LTで表題欄を別途作成し、DWG形式で保存することによってFusionデフォルトの表題欄をそっくり入替えてしまうことが可能です。

 

Fusion 360の表題欄を会社独自のものと入れ替える時の手順

(1)AutoCADで、表題欄を作成します。この時、表題欄の右下を原点にして作図しておきます。Fusion 360で部品表を挿入するつもりなら、表題欄の横幅もそれに合わせて180mmにしておくと良いでしょう。

 

(2)シート設定メニューから、「表題欄を表示」のチェックを外し、非表示にします。

 

(3) 「表題欄」>「表題欄を挿入」をクリックし、(1)で作成したDWGデータを選択して開きます。

 

(4)デフォルトの輪郭線(境界)にピッタリ収まるように挿入されます。

 

(5)必要であれば、部品表>パーツ一覧をクリックします。

 

(6)表題欄の上にピッタリと収まりました。

 

 

Fusion 360から2次元図面を作成でき、寸法記入、文字記入も可能ですが、図面上への線の追加には対応できないので、用途を見極めることが必要となります。

3DーCADの事を知っている人達

 

アメブロでも書きましたが、7月8日~9日に開催されている、メイカーズバザール大阪に行ってきました。

弊社は Autodesk Authorized Training Center: オートデスク認定トレーニングセンター としてCADCIL(キャドシル)というCADスクールを運営しています。

その関係もあって、オートデスク社が出展しているFusion 360ブースで初日だけお手伝いです。

出展者も多く、大盛況のイベントでした。

ローカルなイベントでしたので、各ブースとも手作り感満載で、とても親しみやすい展示ばかり。

子供も参加できるワークショップも多数あり、家族連ればかりかと思いきや、エレクトロニクス業界の方、いわゆるプロな人達も大勢来場されていました。

当ブースに訪れてくださった方々とも様々なお話をさせていただきました。

電機メーカー、自動車メーカーをはじめ、製造業で実際にCADを使ってお仕事をされている方も多くいらっしゃいました。

なので、Fusin 360 を

  • 知っている
  • 123Dからの切り替えるつもり
  • インストールしてみた
  • 実際に触っている
  • 仕事で使っている

という方の比率も高かったように感じます。

 

そんな中、特に大手製造メーカー社員さんのお悩みで多かったのは

Fusion 360の良さは理解でき、業務でも使いたいのだが・・・

  • 基幹業務ではCATIA、Solidworks、Inventorなどが既に導入されている。
  • セキュリティの関係でネットに接続できない
  • クラウド上で動作させることへの抵抗

というお話を伺うことができました。

一方、小さなデザイン会社、個人事業では、業務で既にバリバリ使われている方もいらっしゃいます。

このあたり、他の3D-CADに比べて、コスト、機能面でのアドバンテージは相当あったとしても、業務への導入については、各企業の方針に大きく左右されるかもしれません。

 

Fusion 360ブースの中で特に人気のあった展示品

Fusion 360でデザイン、3Dプリンタで作成された義手

Fusion  360 で設計され、3Dプリンタで製作された義手です。

大阪工業大学 ロボティクス&デザイン工学部の先生が開発されたものだそうです。

小型バッテリー内蔵で、腕の筋肉の動きを検知して各関節が動きます。

私も動かしてみましたが、興味深い研究だと思います。

 

機構設計はもちろん、各種解析や有機的な曲面生成も可能にするFusion 360は3Dプリンタと非常に相性の良い3D-CADだと言えるのではないでしょうか。

 

※セミナーのご案内

7月29日(土)大阪で開催される、Fusion 360のセミナーに弊社社員が登壇いたします。
オートデスクから 担当者も参加。最新情報の提供も予定しています。

Fusion 360 クラウドベース3DCAD入門

主催:JAVC(日本ビジュアルコミュニケーション協会)

詳細・申し込みはこちらから

ニテコ図研ホームページを一部リニューアル

 

こんにちは、株式会社ニテコ図研 社長の田中です。

ニテコ図研が運営しているサイトのうち、niteco.co.jpをリニューアルしました。

それに伴って、このブログページを開設しました。

ここでは、私の目から見た仕事のことを書いていきたいと思っています。

このブログ以外でも、アメブロでは主にプライベートな日記代わりに毎日記事を書いています。

ニテコ図研サイトブログは主に、弊社社員が様々な情報を書き込んでいます。

今後ともよろしくお願いいたします。